組合概要
理事長挨拶
現在、国内の電力消費量は、モーターによる消費が約60%を占めていますが、自動車の電動化、家電製品の省エネ規制強化、産業用ロボットによる自動化設備の増加など、環境保護や省人化の観点から、今後さらにモーター需要が拡大することが予想され、モーターの高効率化や省資源化がますます重要になってきています。
これを実現する技術のひとつとして、高性能な磁性材料の開発が急がれますが、高性能磁石の原材料には、希少材料であるレアアース(ネオジム、ジスプロシウム等)が必要とされるため、今後の需要拡大に対しては、レアアースの生産動向によって、調達性やコストが大きな影響を受けるリスクがあります。
そのため、当組合では、経済産業省の未来開拓プロジェクト「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」を実施母体として、平成24年9月25日に設立され、レアアースに依存しない体制の構築と技術確立を目指して、平成28年度末に前半5年間の第1期の事業を終了しました。
第1期においては、ジスプロシム(Dy)フリーネオジム磁石の開発や低鉄損の軟磁性材料の開発を完了し、さらに、それらの材料を適用したモーターに対して、効率向上の効果確認まで行っております。
ネオジム磁石は日本で発明された最強の磁石ですが、我が国が磁石技術で世界をリードし続けるためにも、さらなる革新的な新規高性能磁石の開発が最重要課題となっております。
このような状況下で、平成29年度から5企業,1国研,1団体の合計7機関による後半5年間の第2期の事業を開始しました。第2期では、大きくテーマを見直し、従来のネオジム磁石を超える革新的な高性能磁石の開発と次世代自動車や家電、産業機械の心臓部であるモーターの低損失化・小型化に必要な技術を開発し、世界に先進する競争力を確保し、我が国産業全体の活性化に寄与していきたいと存じます。
令和3年度の当組合の活動完了時には、新たな高性能磁石と高効率モーターの実用化に貢献できるよう組合員一同が一体となり取り組んでおりますので、関連官庁、関連団体をはじめ、皆様のさらなるご協力とご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
高効率モーター用磁性材料技術研究組合 理事長 菊池 芳正
2019年7月2日
組合概要
名称 | 高効率モーター用磁性材料技術研究組合 (略称:MagHEM) Technology Research Association of Magnetic Materials for High-Efficiency Motors (MagHEM) |
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設立年月日 | 平成24年9月25日 |
理事長 | 菊池 芳正(ダイキン工業(株)テクノロジー・イノベーションセンター副センター長) |
組合員 | ダイキン工業(株), (一財)金属系材料研究開発センター, (国研)産業技術総合研究所, (株)デンソー, トヨタ自動車(株), 三菱電機(株), (株)明電舎 (5企業,1国研,1団体) |
事業費 | 令和元年度 4億円 |
事業の概要 | 高効率モーター用磁性材料及びこれを用いたモーター設計に関する研究開発 |
組合設立の目的
現在のレアアース添加型磁石を上回る性能を持ちながらレアアースを使用しない革新的な高性能磁石等の開発、及び内部エネルギー損失を低減するための高効率軟磁性材料(鉄心)の技術開発とモーター全体の設計見直しを通じて、モーターの小型高効率化を実現する。
実用化の方向性
①ジスプロシウムを使わないネオジム磁石の高性能化技術開発 | 目標:最大エネルギー積 1.5倍 (180℃) |
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②ネオジム磁石を超える新磁石開発 | 目標:最大エネルギー積 2倍 (180℃) |
③軟磁性材料開発 | 目標:鉄心で失われるエネルギーを80%削減 |
④高効率モーターの実現 | 目標:モーターのエネルギー損失を40%削減、 モーターのパワー密度を40%向上 |
事業化の目途の時期
①ネオジム磁石の高性能化 | 2017年めどに実用化へ |
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②新磁石開発 | 2022年めどに実用化へ |
③軟磁性材料 | 2017年めどに実用化へ |
④高効率モーター | 2022年めどに実用化へ |
組合組織図
組合員リスト
- 一般財団法人金属系材料研究開発センター
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所
- ダイキン工業株式会社
- 株式会社デンソー
- トヨタ自動車株式会社
- 三菱電機株式会社
- 株式会社明電舎